スイッチング電源によるLM3886パワーアンプ
2011.08.22作成
■はじめに
スイッチング電源をヤオオクで安く落札したので、在庫のLM3886を用いてコンパクトなパワーアンプを作成した。
スイッチング電源はパルスを発生するので、パワーアンプと言えども同一シャーシに組み込むことに不安があったが試みた。
結果は、残留ノイズは3mVとハイレベルであるが、ノイズの周波数が150KHz以上と高周波の為に可聴周波数帯域からはずれており、
スピーカーからはノイズは聴き取れない。
音は、聴いた限りではトランス付と判別し難い。
良いことは、消費電力がアイドリング時に0.1A(交流)で10ワットである節電アンプである。
■回路図
特徴は、電源部にある。
スイッチング電源は、イーター電機工業(株)製 スイッチングDC電源 12V 24V 2A出力 ERB25HWA を使用。
±電源を用意するために2個使用する。+出力なので-側は+24Vを接地し、0Vを-出力とする。
そのまま電源とするのは、リプルノイズの面から不安がったので、後段に簡単な定電圧回路を設置した。
カタログ値では、出力リプル・ノイズは、290mVppMAXと標記があり、実測でも、13.5mVrmsである。
定電圧回路にMOS-FETを用いたのは、たまたま在庫品にあったので使用した。
ツエナーダイオードに20Vを使用したが出力は、18Vとなり、2Vのドロップがある。
出力リプル・ノイズは、3.2mv(+側)、3.1mV(-側)になり、周波数成分は150KHz以上で60Hzの商業電源のハム成分は皆無である。
電源コンデンサに10,000uFのケミコン+0.047uFのマイラーコンを設置したが効果は顕著ではない。
■特性
特性一覧を下記に示す。
電源特性
項目 | サイド | 出力リプル・ノイズ | 定電圧出口 | 備考 | ノイズ周波数 | 出力波形 | 150KHz波形 |
フィルター | +側 | 13.5mV | 4.2mV | 約150kHz | |||
フィルター | ー側 | 1.8mV | 3.4mV | 約150kHz | |||
フィルター | +側 | 3.2mV | 10,000uF+0.047uFマイラーコン追加 | 約150kHz | |||
フィルター | ー側 | 3.1mV | 10,000uF+0.047uFマイラーコン追加 | 約150kHz |
アンプ特性
項目 | ch | SP端(8Ω負荷) | 備考 | ノイズ周波数 | 波形 | 150KHz波形 | |
残留ノイズ | Rch | 2.0mV | 入力シャント | 約150kHz | |||
Lch | 2.7mV | 入力シャント | 約150kHz | ||||
出力(8Ω負荷) | Rch | 8Vrms以上 | 8Watt相当 | ||||
Lch | 8Vrms以上 | 8Watt相当 | |||||
周波数特性 | Rch | 20Hz〜20kHz±0dB | |||||
Lch | 20Hz〜20kHz±0dB | ||||||
消費電力 | 0.1A | 10Watt相当 |
■写真
前面 シャーシー寸法は 幅300×奥行200×高さ60cm のリード アルミシャーシー S-4 |
|
背面 入出力端子は背面に集中 |
|
部品配置 スイッチング電源ユニット2個 がスペースのほとんどを占める |
|
イーター電機工業(株) スイッチングDC電源 12V 24V 2A出力 ERB25HWA |
|
MOS-FETを使用した 定電圧電源ユニット |
|
LM3886による パワーアンプユニット上面 |
|
LM3886による パワーアンプユニット背面 |
|
LM3886による パワーアンプユニット全景 |
|
■電源の改造
ハム音ではない間欠音の残留ノイズが耳に付くようになり、オッシロで観察したが発見出来ず。
スイッチング電源の性ではないかと検討を付け、アナログ電源に改造した。
パワートランスは、ヤオオクで安い出物があったので落札。ソニー製品の無名品であるが外観が気に入った。
■回路図
■姿写真
左側:電源部 センターに配置 した電源トランス |
|
電源部の拡大 | |
■特性
項目 | Lch(mV) | Rch(mV) | 備考 |
残留ノイズ | 0.26 | 0.2 | 入力:ボリュルーム=0、RL=8Ω |
ノイズ波形 |
■感想:
気になるノイズはなくなったが、スピーカーに耳を付けるとかすかに連続音が聞こえる。
スイッチング電源の時は無音であったが。